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MINIMAL INTERVINTION

歯を削らない治療

「削って詰める」という行為を見直す

虫歯治療は「削って詰める」というイメージが強いのではないかと思います。
しかし、削って詰めるという当たり前のように思われていた治療行為を見直す必要があると考えています。
それは次のような理由があるからです。

再治療によって
歯の強度を失っていく

虫歯が一気に進行して歯を失うケースは実は稀です。

虫歯の再発を繰り返す。そのたびに削る。元々はインレー(詰め物)で済んでいたものが、削る範囲がどんどん広がっていき、やがては被せ物になり、最終的に噛む力に耐えられずに歯が破折してしまって抜歯になります。

このような負の治療サイクルを「リピーテッドレストレーションサイクル」と言います。

この負のサイクルを食い止めるためには、

  1. 多くの歯質を残し、
  2. 再発しないような緊密な歯冠修復を行い、
  3. メンテナンスによって維持していく

という良いサイクルに導く必要があります。そのために当院では「MI(ミニマルインターベンション)コンセプト」を実践しています。

歯質を残すことのこだわり

歯を削らないことが目的ではありません。歯質を多く残し、歯の強度をどれだけ維持していくかが重要です。そのための手段が「歯を削らない」ことです。

一方、どれだけ削る量を少なくしても、その後の修復が悪ければ治療の意味はありません。そこで、最小限の切削から詰め物の高精度な接着までを一連の処置として行うのがMIコンセプトです。

当院が実際に行っていることをご紹介していきたいと思います。

う蝕検知液の使用で
虫歯を可視化

う蝕検知液は虫歯の部分を染め出すための薬剤です。

歯を削る量を最小限に抑えるためには、虫歯の部分だけを削る必要があるのですが、染め出すことで虫歯が可視化されるため、最小限の切削量に抑えられます。

う蝕検知液の使用は歯を削らない治療の基本と言えます。

マイクロスコープを用いた
拡大視野での治療

マイクロスコープを用いることで、拡大視野で治療を行うことができます。

歯を削らない治療は、削るだけでなく、修復も精密でなくてはなりません。肉眼での修復よりも確実で、精度の高い処置を可能とします。

ラバーダム防湿で
細菌の侵入と湿度を防ぐ

ラバーダム防湿は、唾液中に含まれる細菌の侵入を防いだり、詰め物の接着を阻害する湿度を防ぐ役割があります。

海外の論文では、ラバーダム防湿の有無によって、接着強度が大きく変わるという報告があります。

防湿は詰め物や被せ物をする際の接着においてはマストであると言えるでしょう。

イミディエイト・デンティン・シーリングで感染防護や疼痛の抑制

イミディエイト・デンティン・シーリングは、象牙質の保護・疼痛よぼを目的とした処置です。

これにより、細菌の感染防護や術後疼痛の抑制をすることができます。

また、接着強度を高めることができるため、歯を削らない低侵襲な治療や修復を行うには必須であると言えます。

実際に当院で行う歯を削らない治療

これまでは、歯を削らずに多くの歯質を残すための治療のこだわりについてお伝えしましたが、
次は実際に歯を削らずに多くの歯質を残す「低侵襲治療」について、実際に当院で行っていることをお伝えしていきます。

ダイレクトボンディング

ダイレクトボンディングは初期の虫歯に行う治療で、奥歯・前歯の双方に用いられます。インレーやアンレー(詰め物)に比べて、歯の切削量を少なくすることができます。そのため、低侵襲な治療法の代表的な治療方法となっています。 また、歯に直接盛り付けていくという治療方法により、細かいディティールまでこだわった修復が可能です。

オクルーザルベニア

通常、根管治療などをした歯に対しては被せ物をするために、歯の周囲を削る必要があります。
歯を削る量が多くなれば、歯が薄くなってしまうため、歯根破折といって歯が割れる可能性が高まります。

強度の高いエナメル質を保持したまま、歯冠を修復することで歯根破折を防ぐために行う修復治療がオクルーザルベニアです。
歯質を残すこだわりでお伝えしたイミディエイト・デンティン・シーリングを行い、精密に処置された部分にアンレーを接着することにより、噛む力に耐えることができるようになります。

世界の歯科保存治療(歯や歯質を残す治療)のエビデンスを見ても、オクルーザルベニアを行った歯が長く維持されていることが明らかになっています。

何でも歯質を残せば良いわけではない

MIコンセプト=歯を削らない低侵襲な治療というイメージがあると思いますが、それは誤認です。なんでも歯質を残せば良いわけではありません。

本来はオプティマルインターベンションと呼ばれる、患者さんの年齢や生活習慣、咬み合わせや歯ぎしりなど、歯を失うことにつながるあらゆる観点から治療計画を考える必要があります。
つまり、MIコンセプトはオプティマルインターベンションという概念の中の1つにしかすぎません。

しかし、できるだけ削らないでほしい。という患者さんの希望があるのも事実です。MIコンセプトを活用して、なるべく低侵襲な治療を心がけていくのは当然行いますのでご安心ください。

最後に、お口全体を考慮した上で行った歯を削らない治療の症例をご紹介します。

歯を削らない治療の症例

実際に当院で行っている歯を削らない治療について、症例を用いて解説いたします。

虫歯の処置

銀歯の部分に虫歯が再発してしまい、二次カリエスの状態になっていました。
この写真は、その銀歯を取り除き、拡大視野で最小限の切削をした状態です。う蝕検知液を使うことにより、歯質を無駄に削ることなく、十分な歯質が確保できている状態です。

IDS

虫歯の処置が完了した後、イミディエイト・デンティン・シーリングを行い、感染の防護や術後疼痛の防止を行っていきます。
また接着力を高めるために重要な処置で、歯を削らない治療(接着治療)を行うにはなくてはならない工程です。

う蝕検知液で染め出し

う蝕検知液を用いて、染め出しを行います。
詰め物・被せ物などをセットする前に染め出しを行わないと、接着阻害因子を除去したり、感染部の取り残しがある可能性があります。
そのため、詰め物・被せ物を接着する際には必ず染め出しを行います。

接着阻害因子の除去

染め出された部分は接着阻害因子となります。
そのため、接着部分をきれいにすることによって、接着強度を更に高めることができます。
患者様には見えない部分ではありますが、こだわりの部分です。

オクルーザルベニアをセット

MI治療を検討しなければ、クラウンになってしまう可能性がある歯も、オクルーザルベニアをセットすることによって、歯質を多く残すことができます。
この処置は、東京駅周辺ではあまり行われていない、当院の特徴であると言えます。

削らない上に審美性にもこだわりました

オクルーザルベニアを行なった隣の歯は、ダイレクトボンディングにて修復を行い、削らない治療・多くの歯質を残すという目的を達成しました。
また、お口を開けたときに自然に見えるよう、高い審美性にもこだわりました。

症例概要

年齢・性別
30代男性
主訴
銀歯の下が痛い
診断
二次カリエス(虫歯の再発)
治療
MI治療による低侵襲な虫歯治療、ダイレクトボンディングによる修復、オクルーザルベニアでの修復
リスク
強い噛み合わせの場合は割れる可能性がある(咬合調整が必要になる)
金額
ダイレクトボンディング 55,000円~88,000円(税込)/ 1本
オクルーザルベニア 143,000円(税込)/ 1本
イミディエイト・デンティン・シーリング 33,000円(税込)/ 1本
接着処置 22,000円(税込)/ 1本
虫歯の場所・範囲・深さ・大きさによって費用が変わる場合があります

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